貧しさと犯罪
職が得られない貧しい人は、犯罪にはしりやすいとまでは
いかなくても、そうなっても仕方がないだけの事情がある---
長いあいだ新聞やテレビでは、こう発信し続けてきた。
悲しいことに、この考え方が広まれば広まるほど、頻繁にそんな
事態が起こるらしく、特に人間性の基礎がしっかりしていない人に
多い。私の友人がよく言うように「自分の意見を言う資格はだれでも
あるが、誤ったことを言う資格はだれにもない」のだ。
私は大恐慌のさなかに育った。だから、家事や庭仕事をするから、
何か食べ物をくれないかと裏口をノックする人には慣れっこだったが、
おもしろいことに、だれひとりとしてただで食べ物をくれとは言わなかった。
その代わりに働きたいと申し出たのだ。ある統計によると、恐慌のさなかに
起きた犯罪の数は、恐慌前より少ないという。
『ファイナンシャル・ポスト』の記事によると、同じことがカナダでも
起きたらしい。カナダでは1992年から1993年の間、犯罪発生率が全体で5%
減ったことが統計から分かったそうだ。1993年、カナダでは工場の閉鎖や
失業者の増加、事業の縮小が相次いだため、犯罪が増えても不思議では
なかったのに、反対に強盗や犯罪の件数が減ったというのである。
貧しさが犯罪を引き起こすという考えは忘れて、正しい道が最善の道だと
いうことを根気よく教えれば犯罪はもっと減るはずだ。経済的な苦しさは
人間形成に役立つ経験なので、いわゆる「生活必需品」がなくてもなんとか
生活する術を学ぶことができる。だから経済的な苦しさから抜けだして、
将来成功するためにもっとしっかりと準備を進めよう。
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