ココ壱番屋の創業者がお書きになった
日本一の変人経営者 よりどうぞ。
名古屋でコーヒーを頼むと、
ピーナッツやあられの小皿が
付いている。モーニングサービスに
トーストやゆで卵どころか、
きしめんや茶碗蒸し、ご飯・味噌汁
までついてくることがある。
「バッカス」では開店以来、モーニング
サービスを一切行わず、ピーナッツ一皿に
30円の値段をつけて販売した。
おまけを付けたり、安売りをすれば、
お客様は最初得したという気持ちに
なるだろう。
でも、次からはそれが当たり前に
なってやがて効果はなくなる。
さらにそれを上回る過剰サービスの
店が出来ると、途端にそちらに移って
しまう。店としての魅力ではなく、
たんに安いから利用する店だからだ。
喫茶店側に言わせると、
「サービスはお客様のため」
らしいが、実態はなんとかお客様に
来て頂きたくてお互い競争に
走っているだけなのである。
それより、お客様を明るく
「いらっしゃいませ」の挨拶と
笑顔で迎え、真心からの
サービスを提供するほうが、いつまでも
喜んでもらえるはずだ。
もっとも、そうしないではいられないから
したのだが。事実、「気持ちいいあいさつが
好き」「店の雰囲気がいいから」という理由で
常連になっていただいたお客様が大勢
いらっしゃることも知っている。
居心地のいい健全な空間を提供して
お客様に満足してもらうことこそ、
経営の大根幹であり、決して妥協できない
ことと感じていたのである。
p44
商売というものは、最初は三流立地で
あろうが、素人レベルであろうが、
とにかくまずスタートして、散々
苦労してみたほうがいいと考える
ようになった。むしろ当初の売り上げは
低くても、そこから着実に増やして
いくことのほうが結果的に成功することを、
わずか3店舗目で確信したのだ。
p89
5年、10年、それ以上と中長期で
見た場合、好立地で、開店早々から
さほど労せずして軌道に乗るような
店舗経営は宛てにならないということだ。
それよりも、当初1年から3年は徹底して
売り上げを伸ばす努力や苦労をしたほうが、
結果的には成功する。
短期間で撤退する前提なら話は別だが、
経営は長く継続して栄えることこそ
重要であり、経営は”継栄”なのだ。
p125
「大きな目標は持たず。
一年必死でやれば届く目標を立て、
それを繰り返す」がモットーだった。
p123
お客様から受けた注文をスタッフが
大きな声で復唱することにしている。
第一の目的はオーダーミスを防ぐ
ことにあるが、離れた場所にいる
調理スタッフにも注文内容を伝え、
いち早く調理にとりかかれるように
しているのだ。
その結果、お客様を待たせる時間が
わずかでも時間がわずかでも短縮できる。
こうした小さな努力の積み重ねは
「どこか他店と違う」
という評判の差につながっていく。
p147
自社の店にいかないで、
「ブームや時流の勉強になるから」
といって他社の店にばかり行こうと
する経営者も問題だ。
そんな暇があるのなら、
自社の現場に行けば何か
問題が見えてくるし、
それを一つ一つ潰して
いけば、必ず強い店にできる。
私は同業他社がやることに
気を取られたり、話題の店舗を
気にしたりすることは一切なかった。
他店でいくら値下げをしようが、
どんな商品が人気がだろうが、
どんな商売がブームだろうが、
意に介さなかった。
常にお客様のほうだけを向いた
経営をしてきたのだ。
p159
奥様は、
「お客様から『お水ください』と
言われたら私の負け」
は当時から彼女の口癖で、
背中にも目をつけて、店内全ての
お客様に目配り、気配り、心配り
を欠かさなかったんである。
p178
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目の前のことを見ようとせず、
外のことにばかり気をとらわれていた
ように思えて反省です。